戦後80年平和祈念

日米合作長編映画製作プロジェクト

scroll
戦後80年平和祈念

日米合作長編映画製作プロジェクト

企画趣旨

「ものづくり」の夢と情熱を通じて
紡がれる平和への想い

この映画は「飛燕」にまつわる三者の物語を軸に展開します。
飛燕の設計者である土井武夫の技術者としての情熱、
飛燕のエースパイロットだった垂井光義の戦時中の心理的葛藤、
そして現代、垂井が操縦していた飛燕を日本に里帰りさせた武浩。
飛燕が過去と現在を繋ぎ、
「ものづくり」の情熱が如何にして時代を超えて
平和への想いと結びつくのか。

戦争体験者が少なくなった今、
平和の維持がいかに重要か、
そして個々がどのようにして
直面する現代の課題に向き合うかを問いかけます。
戦後80年の節目に、
日本と米国がかつての戦いを乗り越え、
共に平和の尊さを次世代に伝えることを目指して
このプロジェクトを立ち上げました。

bg

ストーリー

飛燕にまつわる
3人の男たちの群像劇

2017年、岡山県倉敷市でバイク部品の製造を営む武浩は、ネットオークションで旧日本軍の三式戦闘機「飛燕」を落札する。彼はかつてアメリカの航空博物館で偶然目にした「飛燕」に心惹かれていた。
その出会いが、彼の人生を大きく動かす。
物語は、戦時中に飛燕を設計した伝説の技術者・土井武夫、飛燕と共に空を駆け抜けたエースパイロット・垂井光義、そして現代に生きる武浩という三者の運命が交錯する形で展開していく。土井たちが日本の航空技術の未来を担った時代、垂井は家族への想いを胸に飛燕に乗り戦場を駆け巡った。
そして現代、飛燕を復元する武浩の挑戦が、一つの壮大な物語として紡がれる。飛燕が過去と未来を繋ぐ架け橋となり、ものづくりの情熱が80年の時を超え、私たちに平和への想いを問いかける。

登場人物

飛燕の開発に情熱を燃やした

Takeo Doi

(1904年 - 1996年)

山形県出身。東京帝国大学工学部航空学科卒。
川崎重工業の前身である川崎航空機工業において「飛燕」(三式戦闘機)をはじめ
20 機種以上の航空機の設計に携わった、日本を代表する航空機設計者の一人。
零戦の設計者・堀越二郎や日本大学工学部教授・木村秀政とは大学の同期生であり、
戦後初の国産旅客機「YS-11」の開発にも参加、同機の実現に多大な貢献をした。
晩年は川崎重工業の技術顧問や大学の教育者として、後進の指導を行った。
日本の航空機工業界を世界水準に押し上げた一人であり、我が国の航空史に
大きな足跡を残した大立者であった。

飛燕のエースパイロット

Mitsuyoshi Tarui

(1915年 - 1944年)

岡山県出身。北和気尋常小学校高等科卒業。
岡山市天満屋百貨店貸店々員
大日本帝国陸軍の軍人、戦闘機操縦者でエース・パイロット。
最終階級は陸軍中尉。ノモンハン航空戦第2位のエース。
第14飛行団 第68戦隊。
戦死後、大尉に昇進。
武が里帰りさせた飛燕177号機のパイロット。

飛燕を里帰りさせた

Hiroshi Take

茨城県水戸市出身。旧車の整備・販売のショップとしてドレミコレクションを開業。
レストアやカスタマイズ、リプロダクションパーツの製造など、
旧車に関連する業務を広く手がける。
現在はメーカーとして、オリジナルパーツとリプロダクションパーツ、
コンプリートマシンの製造・販売を行う。
2017年にオーストラリアのコレクターがオークションに出品した実機を落札し、
飛燕の複製を行った。

3人の運命はやがて
交差していく──。

応援メッセージ

「飛燕」設計者:土井武夫のお孫様

土井 健太郎

祖父が戦前に過ごした欧州の街並みを見せたいと、孫の私達を旅行に招待してくれました。旅の締めくくりとして、英国空軍のハンガーで飛燕の改良型である五式戦闘機と出会いました。機体の修復が行われており、エンジニアと祖父が握手を交わしました。平和であるからこそ、お互いに敬意を払えたのだと思います。技術開発への情熱がどの様に現代へと継承されてきたのかをこの映画で示していただけることを楽しみにしています。

「飛燕」パイロット:垂井光義の甥御様

垂井 長治

第二次世界大戦で伯父、垂井光義が操縦していた戦闘機「飛燕」の実機とレプリカを見て、亡き伯父の足跡を振り返る機会をいただきました。武浩社長様には、原寸大レプリカの組み立てをしていただき、大変感謝しております。また、我々の世代も高齢化し、悲惨な戦争体験を伝えていける時間が残りわずかであることを改めて感じました。10代から20代の若者たちが、この戦闘機で戦い、命を落としていったことでしょう。その方々のことを決して忘れないでいただきたい。同時に、いまだ戦禍で苦しんでおられる国々の現実にも思いを馳せ、この「飛燕」が平和への助力となり、語り部としてずっと残ってほしいと心より願うものです。それを亡き叔父も切に願っていると私は思います。

株式会社ドレミコレクション 代表取締役

武 浩

この映画を通じて、日本のものづくり産業がアジアで唯一飛行機を飛ばした技術力と、現在まで受け継がれてきた職人魂をもう一度奮い立たせてください。また、戦争の記憶を後世に伝えていくためにも、ご家族で平和について話し合うきっかけにしていただければ幸いです。今の平和が80年も続いてきたのは、先人たちのおかげです。私は、愛と平和を願い、土井技師や垂井大尉の生き様、そしてこのプロジェクトに関わった方々の想いを後世に伝えていくことが私の務めだと思っています。

岡山県知事

伊原木 隆太

日米合作長編映画『HIEN』の製作にあたり、ごあいさつを申し上げます。このたび、80 年の時を経て、本県に奇跡的な里帰りを果たした「飛燕」をテーマとした映画が製作されることを大変うれしく思っております。この作品を通じて、県内の多彩なロケーションを多くの方にご覧いただき、本県の魅力をお届けするとともに、平和の尊さが、次の世代にしっかりと受け継がれることを期待しております。

岡山県浅口市長

栗山 康彦

開発者、エースパイロット、そして現代に蘇らせた者。飛燕にまつわる物語には、三人の運命を感じます。復元を契機に、今、三人に負けない情熱でこの映画製作プロジェクトは進められています。飛燕の復元に込められたものづくりの情熱と平和への想いが、この映画を通じて多くの人々に届くことを切に願い、浅口市は、現代に蘇った飛燕のあるまちとして、映画『HIEN』製作を全力で応援します。

監督・脚本

末次 成人

1977年、神奈川県出身。2006年からシンガポールやベトナムを拠点に様々な映像制作に従事。
2016年に拠点を香川県に移し、『Timeless KOTOHIRA』(17年)『ハルカの陶』(19年)、『いつかの好奇心』(23年)他。